美容家・鍼灸師・国際中医師 濱田文恵
はじめに——メイクは今日のキレイを作る。養生は一生もののキレイを育てる。
本当の美人は、肌にツヤがあり、目に力がある。
もしいつか娘に「キレイになりたい」と言われたら、私はこう答えたい。
メイクは今日のキレイを作るもの。でも養生は、一生もののキレイを育てるもの。
“キレイに見える”テクニックなら、いくらでも情報がある時代。
でも私があなたに伝えたいのは、”キレイに生きる”ための習慣のほう。
将来あなたが自分で選べるように、ママが日々大切にしている”素肌ごと美しくなる暮らし方”を書いておくね。
顔を養うなら、まず血を養う——気血は最高のチーク
朝7〜9時は、脾胃が働き始める時間。かぼちゃとあわのお粥に、蒸したなつめを数粒。
これが体にとって一番やさしい朝ごはんなの。
食べないで痩せた「やつれ」じゃなく、しっかり食べて気血が満ちた「潤い」。
あなたにはそっちの美しさを知ってほしい。
午後3〜5時には、太ももの外側を軽くトントンと叩いて、温かいクコの実のお湯を一杯。気血を、届くべき場所へ流してあげる。
頬の血色は、チークが作るものじゃない。気血が内側から透けて出るもの。これが、ママが一番伝えたいことのひとつ。
気血とは何か:
中医学における気血とは、体を養い巡らせるエネルギーと栄養のこと。気血が充実していると肌にツヤが出て、目に力が宿り、頬に自然な血色が生まれます。どんな化粧品も、気血の充実に勝る美容法はないと中医学は教えています。
髪が清潔であること——それが美人の第一印象
中医学では「頭は諸陽の会(あつまり)」と言います。
ベタつく頭皮、重たい髪は、体の中の「濁った気」が外に溢れ出ているサイン。髪をふんわり清潔に保つ本当の秘訣は、体内に余分な湿気を溜めないことにあります。
冷たいものを控える。夜更かしを減らす。考えすぎない。それだけで、髪はちゃんと応えてくれる。
一束の清潔感ある髪は、どんなに上手なメイクよりも先に、人の心に届くから。
食べるものがキレイなら、顔もキレイになる
『黄帝内経』にはこうあります。
「五穀をもって養い、五果をもって助け、五畜をもって益し、五菜をもって充つ」
食べないのではなく、食べ方を知ること。
外食を減らして、キッチンに立つ回数を増やす。冷たいドリンクを減らして、温かいお水を飲む。油っこいものを控えて、素材そのものの味を楽しむ。
あなたが口にしたもの一つひとつが、やがて顔に現れる。だからこそ、食卓を大事にしていきたい。
心がのびやかなら、顔つきは自然とやわらかくなる
中医学では「心、その華は面にあり」と言います。
長く続く感情の我慢や、考えすぎる日々。その蓄積はいつか、くすみ・吹き出物・ほうれい線になって顔に出てくる。
寝る前に、お腹を30回やさしくさする。脾胃を動かすだけじゃなく、心を元の場所に戻す時間。
湯船に10分、難しいなら足湯だけでも10分。一日のざわつきを静かに沈めていく時間。
心にわだかまりがなければ、顔に濃いシワは刻まれない。いつも心をのびのびさせていてほしい。そうしたら、表情は自然とやわらかくなるから。
小さな習慣が、ずっと続く美しさを育てる
ずっと続くキレイを手に入れたいなら、体を毎日少しずつ大切にしてあげること。
無理して頑張る美容じゃなくて、毎日なんとなく続けられる小さな習慣——
毎日50回の胆経トントン(太ももの外側) 寝る前30回のお腹さすり 朝の温かいお粥一杯 午後の温かいお水一杯
美しさは、一瞬で完成する驚きではなく、毎日自分にやさしくし続けた積み重ねです。
おわりに——これはママから、あなたへの手紙
ファンデーションで隠すだけのキレイじゃなくて、気血が満ちたキレイを。 美容医療で引き締めるキレイじゃなく、内側から調えたキレイを。 誰かに認められるキレイじゃなく、自分で自分を満たすキレイを。
すっぴんにツヤがある。目が澄んでいる。心に愛がある。顔に笑顔がある。
ママが娘に伝えたい「キレイのなり方」は、これがすべて。
生命力があって、発光するひと。あなたには、そんな女性になってほしい。
よくある質問(Q&A)
Q. 「気血が満ちた美しさ」とはどういう意味ですか?
A. 中医学における気血とは、体を動かし養うエネルギーと栄養のこと。気血が充実すると肌にツヤが出て頬に自然な血色が生まれ、目に力が宿ります。スキンケアやメイクで表面を整えることとは別に、食事・睡眠・養生によって内側から気血を補うことが、化粧品では作れない「本物のキレイ」につながると中医学は考えています。
Q. 黄帝内経の「五穀・五果・五畜・五菜」とはどういう意味ですか?
A. 黄帝内経に記された食養生の基本原則です。穀物で体を養い、果物で助け、肉類で補い、野菜で充たす——特定の食材に偏らず、多様な食材をバランスよく摂ることが健康と美の土台になるという考え方です。「何を食べないか」より「どう食べるか」を重視する、東洋医学の食哲学です。
Q. 「心、その華は面にあり」とはどういう意味ですか?
A. 中医学の概念で、心(しん=精神・感情・血脈を司る臓腑)の状態が顔に直接現れるという意味です。感情のストレスや考えすぎが続くと気血の流れが滞り、くすみ・吹き出物・表情の固さとして顔に出やすくなると考えます。スキンケアと同様に、心を整えることが美容の大切な柱のひとつです。
Q. 養生と美容医療は、どちらを優先すべきですか?
A. 対立するものではなく、養生が「土台」、美容医療が「選択肢」という関係です。内側が整っていれば美容医療の効果も出やすく長持ちしやすくなります。「美容医療の前に、まず整える」——これがこのコラムを通じて伝えたい、東洋美容の基本姿勢です。
執筆者プロフィール
濱田文恵(はまだふみえ) 美容家・鍼灸師・国際中医師・国際中医薬膳師・毛髪診断士・医薬品登録販売者
中国・江蘇省蘇州生まれ、4歳から日本で育つ。東洋医学と美容の研究を10年以上続け、3人の子を育てるママでもある。鍼灸師国家資格取得、上海中医薬大学日本校中医専門課程修了。株式会社LINOME代表取締役、一般社団法人日本セルフ美容協会代表理事。漢方コスメブランド「朱華(shuka)」プロデューサー。「老けの根っこから整える」東洋×西洋の美養法・延美長寿を提唱。
本コラムは、鍼灸師・国際中医師の資格をもつ濱田文恵が、東洋医学の考え方にもとづき執筆しています。医療行為を目的としたものではありません。体調に関するご相談は、専門家へお問い合わせください。


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