美容家・鍼灸師・国際中医師 濱田文恵
はじめに——現代女性の目は、酷使されすぎている
朝起きてスマホをチェックし、仕事中はパソコンの画面を見続け、移動中もスマホ、帰宅してからはテレビ——気づけば一日中、目を使い続けているのが現代の生活です。
その結果、目の疲れ・ドライアイ・涙目・かすみ目・視力の低下といった不調を抱える方がとても増えています。
どんなに肌がきれいでメイクが上手でも、瞳の色が曇っていたり充血していたりしたら、せっかくの美しさが半減してしまいます。スキンケアと同じくらい丁寧に、目も育てていきましょう。
中医学が見る「目と肝のつながり」——なぜ目の疲れが全身サインになるのか
中医学では「肝は目に開竅(かいきゅう)する」と考えます。肝が司る血と気の流れが充実していれば目はきちんと機能しますが、肝が弱ったり消耗したりすると目に様々なサインが出やすくなります。
つまり目の疲れ・クマ・ドライアイは単なる「使いすぎ」ではなく、肝・血・気の消耗を示すサインとして読み解けるのです。スキンケアで目元を整えるのと並行して、内側の肝を養うことが目の美養生の根本になります。
あなたはどのタイプ?クマができやすい人のタイプ別分類
目元のクマは体の状態を映すサインでもあります。中医学の視点から、クマのできやすいタイプを整理しました。
茶クマができやすいタイプ:
もともと体力があまりなく疲れやすい方、病後の回復期にある方。目周りの皮膚が薄いため、わずかな刺激でもメラニン色素が蓄積しやすくなります。中医学的には気血不足が背景にあることが多いです。
青クマができやすいタイプ①:
月経が不順になりがちな方、ホルモンバランスが乱れやすい方。中医学では「気滞血瘀(きたいけつお)・寒凝血瘀(かんぎょうけつお)」と呼ばれる状態で、目周りに血が滞りやすくなります。
青クマができやすいタイプ②:
アレルギー性鼻炎・花粉症がある方。鼻腔に鼻水が溜まることで鼻横〜下まぶたの静脈の流れが妨げられ、血行不良からクマが生じやすくなります。
青〜黒クマができやすいタイプ:
アイメイクをきちんと落とせていない方。落とし残しが色素沈着を引き起こし、クマの原因になります。
青〜茶クマができやすいタイプ:
目を酷使している方。血流が滞り酸素供給が遅れると、老廃物を含んだ二酸化炭素が蓄積し、血行不良と色素沈着の両方が重なってクマを招きます。
自分のクマのタイプを確認することが、適切なケアへの第一歩です。
目の不調別・鍼灸師がすすめる食養生
目の状態は、日々の食事によって大きく変わります。不調の種類に合わせて積極的に取り入れたい食材をご紹介します。
結膜炎を起こしやすい方:
日頃から薄味・消化の良い食事を心がけて。セロリ・キャベツ・ゴーヤ・トマト・蓮根・梨など、体の熱を冷ます食材が中心です。
角膜炎を起こしやすい方:
良質なたんぱく質をしっかり摂ることが大切。豚ロース・砂肝・卵・大豆などを積極的に取り入れましょう。
涙腺炎を起こしやすい方:
消化の良いものを中心に、体内の熱や毒を冷ます食材を。きゅうり・大根・セロリ・チンゲン菜・ほうれん草・ナス・トマト・バナナなどがおすすめです。
瞳を健やかに保つ7つの栄養素
中医学と現代栄養学の両視点から、目の健康に欠かせない栄養素をまとめました。
たんぱく質:目の細胞機能を整え、老化を防ぐ働きがあります。豚・牛・鶏・魚・卵・大豆・牛乳などから積極的に摂りましょう。
ビタミンA:ドライアイの予防に欠かせない栄養素。牛肉・レバー・肝油・牛乳に多く含まれます。
ビタミンB1:目元のむくみ防止や視力減退の予防に働きます。落花生・大豆・しいたけ・豚ロース・卵黄がおすすめです。
ビタミンB2:涙目や角膜の疲れを予防します。卵・ウズラの卵・大豆・牛乳・きのこ・海苔に豊富です。
ビタミンC:白内障の予防や視力低下防止に。キウイ・オレンジ・トマト・ほうれん草・ブロッコリーなどから摂れます。
カルシウム:近視の予防に関わる栄養素。乳製品・豆類・昆布・ねりごま・くるみを意識して取り入れてください。
セレン:視力の維持をサポートします。肉・卵・魚・エビ・カニ・きのこ・にんにく・ごまに多く含まれます。
今日からできる!目の疲れをリセットする4つのセルフケア
目周りをやさしくプッシュする:
目周りのツボを定期的にやさしく押すことで、滞りがちな血流を促進します。疲れた目に酸素と栄養を届けましょう。指の腹を使って、目頭・目尻・眉の下のくぼみをやさしく3秒押すだけでOKです。
照明環境を整える:
仕事や勉強の際は間接照明を活用し、目への直接的な刺激を減らしましょう。画面の輝度を下げることも効果的です。
定期的に目を休める:
2〜3時間に1度は10〜15分の休憩を。目を閉じてリラックスしたり、遠くの緑を眺めたりするのが特におすすめです。緑色は瞳孔の緊張をほぐす効果があります。
意識的にまばたきをする:
パソコン作業中はまばたきの回数が激減し、ドライアイや視力低下の原因になります。意識してゆっくりまばたきをする習慣が、目のマッサージ効果につながります。
よくある質問(Q&A)
Q. 中医学では「目と肝」はどのような関係がありますか?
A. 中医学では「肝は目に開竅する」とされており、肝が蔵する血が目に栄養を届け、視力や目の潤いを保つと考えます。過労・睡眠不足・ストレスが続いて肝が消耗すると、目の疲れ・ドライアイ・かすみ目・クマとして現れやすくなります。目のケアと肝を養う養生(良質な睡眠・黒い食材・ストレスケア)はセットで取り組むのが根本的なアプローチです。
Q. クマのタイプによってケアが違うのはなぜですか?
A. クマの色によって原因が異なるためです。茶クマはメラニン色素の蓄積(気血不足・摩擦・紫外線)、青クマは血行不良・血の滞り(気滞血瘀)、黒クマは血の滞りが強い状態が関係しています。原因が違えばケアの方向性も変わるため、まず自分のクマのタイプを知ることが正しいケアの出発点になります。
Q. デスクワークで目が疲れにくくなるための習慣は何ですか?
A. まず「2〜3時間に1度、10〜15分画面から目を離す」習慣が最も効果的です。遠くの緑を眺めると瞳孔の緊張がほぐれます。また意識的なまばたき・画面輝度を下げる・照明環境を整えることも重要です。中医学的には目の疲れは肝の血の消耗にもつながるため、23時までに就寝して肝の回復時間を確保することも目のケアになります。
Q. 目の疲れに効く食材を手軽に毎日とる方法はありますか?
A. 最も続けやすいのは「卵を毎日1〜2個食べる」ことです。ビタミンA・B1・B2・たんぱく質・セレンがバランスよく含まれており、目に必要な栄養素を一品でまとめて補えます。また海苔をご飯にのせるだけでビタミンB2・ミネラルが補給できます。「特別な食材を用意する」より「毎日の食卓に少し足す」発想で続けてみてください。
まとめ——目の美養生は「食べる×休める×動かす」の3本柱
食べる:目の不調タイプに合わせた食材を意識的に取り入れる。クマの種類や目の症状から自分に必要な栄養素を把握して食事に活かしましょう。
休める:2〜3時間ごとに目を休ませ、照明環境も整える。画面から目を離し、遠くの緑を眺める時間を意識的につくりましょう。
動かす:目周りのプッシュやまばたきで血流を促す。目の筋肉も「動かして・休める」サイクルが大切です。
鍼灸師・国際中医師の立場から言えば、目の健康は全身の巡りと深くつながっています。特にクマは血の滞りや体力の低下を映す鏡。スキンケアと同じくらい丁寧に、目と向き合う習慣を取り入れてみてください。
執筆者プロフィール
濱田文恵(はまだふみえ) 美容家・鍼灸師・国際中医師・国際中医薬膳師・毛髪診断士・医薬品登録販売者
中国・江蘇省蘇州生まれ、4歳から日本で育つ。東洋医学と美容の研究を10年以上続け、3人の子を育てるママでもある。鍼灸師国家資格取得、上海中医薬大学日本校中医専門課程修了。株式会社LINOME代表取締役、一般社団法人日本セルフ美容協会代表理事。漢方コスメブランド「朱華(shuka)」プロデューサー。「老けの根っこから整える」東洋×西洋の美養法・延美長寿を提唱。
本コラムは、鍼灸師・国際中医師の資格をもつ濱田文恵が、東洋医学および栄養学の知見にもとづき執筆しています。医療行為を目的としたものではありません。症状が強い場合は眼科・医療機関へご相談ください。

