残業で体を壊さないために。中医学的「過労ケア」3つの知恵と参茶(人参茶)の整え方

残業で体を壊さないために。中医学的「過労ケア」3つの知恵と参茶(人参茶)の整え方

美容家・鍼灸師・国際中医師 濱田文恵

目次

はじめに——「もっと頑張る」より「削りすぎない仕組み」をつくる

残業が当たり前になってしまった現代。深夜まで働いて、寝て、また朝出勤。そんな日々が続くと、体と心は少しずつ削られていきます。

中医学の視点では、長期的な過労は肩や首のこり・しびれ、集中力や記憶力の低下、気分の落ち込みや怒りっぽさにつながりやすく、放っておくと大きな不調の引き金になると考えられています。

仕事の時間を短縮できないなら、せめて「残業中の過ごし方」で消耗を増やさない。今日はそのための、シンプルな3つの養生をお伝えします。

過労が積み重なると、体と肌に何が起きるのか

長時間の労働が続くと、まず出やすいのが首・肩まわりのこりやだるさです。さらに集中力や記憶力が落ちた感じ、同じミスが増えること、悲観的になる・イライラしやすくなる——「性格が変わったのかな?」と感じるときほど、実は体力・気力の残量が少ないサインかもしれません。

中医学では「過労は腎を傷める」と明確に伝えられています。腎は生命力の貯金箱であり、髪・骨・回復力を司る臓腑。過労が続くと腎気(生命エネルギー)が消耗され、白髪・抜け毛・肌のくすみ・慢性的な倦怠感として現れやすくなります。

美容に取り組んでいるのに「肌が戻らない」「髪が元気ない」と感じるなら、スキンケアよりも先に過労のサインを見直してみてください。

残業中に体をいたわる3つの養生

養生① カフェイン飲料の代わりに「健康茶」を飲む

眠気覚ましにコーヒーを飲む方は多いと思います。ただ、コーヒーの眠気覚ましには「慣れ」が生じて、量を増やしても効果が薄れることがあると言われています。

また高カフェイン摂取が続くと、コルチゾール(ストレスホルモン)が上昇しやすくなり、腎へのさらなる負担につながります。

そこでおすすめなのが、仕事中の「健康茶」。中華圏では残業中に参茶(人参茶)を飲む習慣があります。気を補い、脳の活力と体力を支えて仕事の効率にもつながる——そんな考え方からきています。

養生② 三食は「定時」に摂る

残業で食事を忘れてしまい、深夜に夜食——これは胃腸にとってかなり負担になりやすいです。

空腹時間が長すぎると胃酸が過多になりやすく、食後すぐ寝ると逆流性食道炎を招くこともあります。中医学では脾胃は「後天の本」——生きていくためのエネルギーをつくる源とされています。どんなに忙しくても、食事の時間にしっかり食べることが脾胃を守るいちばんの基本です。

養生③ 疲れたときは「短い仮眠」を

疲労がピークのときほど、頭が回らないまま作業を続けてしまいがちです。でも10分の仮眠でも取れると、疲労がぐっと抜けて効率が上がりやすくなります。

うとうとしながら残業を続けるより、早めに帰って休んで翌朝早く出社するほうが「事半功倍(少ない労力で大きな成果)」——これは中医学的にも非常に現実的な考え方です。

参茶(人参茶)の作り方と注意点

参茶とは、高麗人参や西洋参を使ったお茶のことで、中医学では気を補い体力・集中力を支える「補気(ほき)」の代表的な飲み物とされています。

材料:人参のスライス3〜5枚 作り方:600ccの熱湯に入れ5分ほど蒸らす。温かいうちに飲む。何度かお湯を足して飲めます。

主な効能:元気を補う(滋補元気)、体質を整える、免疫力を高める

注意(控えたいケース):高血圧で血圧が不安定な方、風邪で発熱しているとき

種類の目安(体質に合わせて選ぶ)

人参(高麗人参など)【温補】:冷え性・疲れやすい方向け。蒸して加工した「紅参」はさらに温める性質が強まります。

西洋参(アメリカ人参)【涼補】:ほてり・口の乾き・便秘がある方向け。体を潤しながら気を補う性質があります。

体質や体調に合わせて選ぶことが大切です。妊娠中・授乳中・服薬中の方は必ず専門家にご相談ください。

過労と肌・髪のつながり——なぜ疲れると「老けて見える」のか

「残業続きの週は、なんか老けて見える」——これは気のせいではありません。

中医学では睡眠中に肝が血を蔵し、肌・髪・目などへの栄養補給が行われると考えます。過労で睡眠が削られると、この修復の時間が足りなくなります。加えて腎が消耗すると、白髪・抜け毛・目の下のクマ・肌のくすみが同時に出やすくなります。

過労は美容の最大の敵の一つです。高いスキンケアより、1時間早く眠ることの方が肌への効果は確かです。

よくある質問(Q&A)

Q. 過労が続くと肌や髪にどんな影響が出ますか?

A. 中医学的には「過労は腎を傷める」とされており、腎が消耗すると白髪・抜け毛・肌のくすみ・目の下のクマが出やすくなります。また睡眠が不足すると肝の血が補充されず、肌のターンオーバーが乱れて乾燥・くすみ・ニキビにもつながります。スキンケアを変える前に、まず睡眠と過労のケアを優先することが根本的なアプローチです。

Q. 参茶(人参茶)はどんな体質の人に向いていますか?

A. 疲れやすい・冷え性・気力が出ない方には、温める性質の高麗人参がおすすめです。一方、ほてりやすい・口が乾く・便秘がちな方は、涼しい性質の西洋参(アメリカ人参)が適しています。自分の体質がわからない場合は、まず西洋参から試すのが無難です。高血圧・妊娠中・発熱中の方は控えてください。

Q. 仮眠は何分くらいが効果的ですか?

A. 10〜20分の仮眠が最も効果的とされています。30分を超えると深い睡眠に入りやすくなり、目覚めたときにかえって頭が重くなる場合があります。目を閉じて横になるだけでも脳の疲労が回復しやすくなるので、完全に眠れなくても十分です。

Q. 「過労は腎を傷める」とはどういう意味ですか?

A. 中医学では腎は「生命力の貯金箱」とされており、働きすぎ・睡眠不足・慢性的なストレスはこの貯金を急速に消耗させると考えます。腎の消耗は白髪・抜け毛・骨の弱化・慢性疲労・集中力の低下など、老化に直結するサインとして現れます。「疲れても若いから大丈夫」という感覚こそが、腎を傷める最も多いパターンです。

今日からのひとつだけ養生

残業をゼロにできない日があるなら、その日にできるのは「消耗を増やさない選択」をひとつだけです。

コーヒーの代わりに温かいお茶を1杯 10分の仮眠を取る 深夜の夜食ではなく「定時の食事」を守る

どれかひとつで十分です。未来の自分が困らないように、今日の自分を少しだけ守ってあげてください。

執筆者プロフィール

濱田文恵(はまだふみえ) 美容家・鍼灸師・国際中医師・国際中医薬膳師・毛髪診断士・医薬品登録販売者

中国・江蘇省蘇州生まれ、4歳から日本で育つ。東洋医学と美容の研究を10年以上続け、3人の子を育てるママでもある。鍼灸師国家資格取得、上海中医薬大学日本校中医専門課程修了。株式会社LINOME代表取締役、一般社団法人日本セルフ美容協会代表理事。漢方コスメブランド「朱華(shuka)」プロデューサー。「老けの根っこから整える」東洋×西洋の美養法・延美長寿を提唱。

本コラムは、鍼灸師・国際中医師の資格をもつ濱田文恵が、東洋医学の考え方にもとづき執筆しています。医療行為を目的としたものではありません。体調に不安がある場合や、妊娠中・授乳中・服薬中の方は必ず医療機関へご相談ください。

この記事を書いた人

鍼灸師・国際中医師・毛髪診断士。東洋医学をベースにした美容と養生を発信しています。

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