東洋医学と聞くと、おそらく「漢方」とイメージする方が多いでしょう。でも実は東洋医学には、漢方(漢方医学)をはじめ、中医学(中国伝統医学)や韓医学、そしてアーユルベーダーやパキスタンの方で親しまれているユナニという医学まで含んでいます。
西洋医学が、患者さんの症状を見て、各種検査をして病名を決め、病名に合わせた薬や治療をしていくのに対して、東洋医学は病名にこだわらず、患者さんの体質や全体の状態を見て治療法を考えていくものです。そのため、数式のようにA+B=Cといった絶対的な答えはなく、あくまで個人個人に合わせた答えになるのが特徴です。
例えば、同じ冷え性に悩む人でも、全身が冷える方もいれば、手足などの先端が冷える方もいますよね。そして、手足などの先端が冷える方でも、生まれつき華奢な方もいれば、体格がしっかりしている方もいますよね。それなのに、冷えという症状だけを見て、同じような対策を取るのは無理があると思いませんか?
東洋医学の中医学や漢方では、同じ冷え性に対しても個人によって異なる対策をとります。(このことを「同病異治(どうびょういち)」と言います。)
- 局所的に見る(胃が悪い、肝臓が悪いなど)
- 病名から治療する(肺炎、風邪、肝臓病など)
- 急を要する病気に向いている(高熱、骨折など)
- 総合的に見る(胃が悪くても胃だけでなく他の部分の不調と合わせてみる)
- 病気でなくて人間をみる(同じ不調でも治療法が異なる)
- 慢性的な不調の改善に向いている
現代人は、働き方改革がさかんに行われている傾向にありますが、それでもひと昔に比べると、女性の社会的進出や、長時間労働の常時化、またインターネットの普及、食生活が便利化していく中で、具体的な病気まで行かなくても、「なんとなく疲れがとれにくい。」、「毎晩冷えが辛くて眠れない」といった不定愁訴を訴える方がどんどん増えてきているように思います。東洋医学では、この状態を病気になる一歩手前ということで、「未病(みびょう)」といいます。そして、この状態に対して、漢方薬を使った治療法を始め、鍼灸や、食事法、運動や精神状態を整えるといった養生で体質改善や健康回復を目指していくとべきだと考えられています。
このように東洋医学は毎日の積み重ねによって体の不調を取り除いていくことを得意としているので、命に関わるような、急を要する病気においては、やはり西洋医学の方が頼もしい存在です。(例えば、初期のがんや心臓病、骨折などの大けがなど)
そこで、近年では、西洋医学での治療に合わせ、補完治療や代替医療(だいたいいりょう)として東洋医学が注目され、お互いに協力していこうというスタンスが一般的になってきました。
私はルーツが中国であり、育ちが日本のため、基本的に中医学と漢方を専門として活動しています。このサイトでは東洋医学にちなんで、中医美容や漢方美容といった面から、様々な美容法について紹介していくことを目的として開設しました。
日々の肌トラブルに、繰り返し悩まされる体の不調に、少しでも参考にしていただけたら嬉しく思います。
中医美容研究家 濱田文恵